Case of the weeKにて研究発表を行いました!

 

2025年6月3日、当院作業療法士の高中駿が、リハビリテーション科合同で実施している「Case of the Week」カンファレンスにて、研究報告を行いました。

発表タイトル:
「慢性期脳卒中患者の白質神経線維の微細構造と、運動観察および両手運動による運動効果との関係:ケースシリーズ」

脳卒中後の上肢麻痺に対するリハビリテーションは多数開発されていますが、効果には個人差があることが指摘されています。本研究では、その個人差の要因として、脳卒中後に残存する神経線維の状態に着目しました。特に、拡散テンソル画像(DTI)という特殊なMRI技術を用いて、神経線維とリハビリ効果との関連性を調査しました。

その結果、運動観察の効果は、視覚情報を運動のイメージに変換する役割をもつ「上縦束II」が良好に保たれている場合に高まることが明らかになりました。また、両手運動では、脳卒中後に代償的に発達しやすいとされる「網様体脊髄路」が保たれているほど、効果が高まる傾向が認められました。

これらの結果は、脳卒中後に残存する神経線維の状態に応じて、効果的なリハビリテーションの方法が異なる可能性を示唆するものであり、将来的には、脳の状態を評価した上で最適な訓練を選択する「オーダーメイド治療」への応用が期待されます。


当日は、各診療科の先生方から多くのご質問やご意見をいただき、終始活気にあふれ、大変盛り上がりました!職種を超えた熱いディスカッションからは、新たな視点やヒントも生まれ、今後のリハビリ医療の発展につながる貴重な時間となりました。

2025年06月20日